運用力とは?
施策をただ実行して終わりにせず、結果を評価し、改善し続けられる体制のことです。特定の担当者や支援会社が代わっても止まらない、再現性のある仕組みがあるかどうか。そして、その結果を経営に説明し、次の投資判断につなげられるかどうかが問われます。個々の施策の巧拙ではなく、「改善サイクルが組織として回っているか」「意思決定の主導権が自社にあるか」を見る力です。
一言でいうと
改善サイクルが組織として回り、意思決定の主導権が自社にある状態をつくる力。
この分野のよくある課題
前任者が退職し、Google広告の管理画面を開いたら、キャンペーンが数十本並んでいて、どれが何のために作られたのか分からない。代理店に聞いても「当時のご担当者のご要望で」としか返ってこない。ABテストの結果や、過去に試してやめた施策の記録はどこにもなく、同じ失敗をまた繰り返す。担当者が代わるたびに、この状態に陥っている企業は非常に多いです。
代理店からの月次レポートは「実施内容の報告」で、「なぜCPAが悪化したか」「次に何を試すか」への答えが曖昧。提案される施策は、代理店の得意領域や新メニューに偏っていて、自社に本当に必要かどうかを判断する材料がない。兼任の担当者が週に数時間しか触れない中で、その判断を求められる。
そして生成AIの普及後、経営からの問いは「何をやったか」から「何が返ったか」に完全に移りました。AIで作業時間が半分になった分、「残りの時間で何を生み出したのか」が問われる。マーケターの94%がAIを業務に使う一方で、事業成果への貢献を実感できているのは24%にとどまります。作業は速くなったのに、成果を説明できない。この差が、担当者個人の評価とキャリアに直接跳ね返っています。
こうした背景には構造があります。広告費に連動して手数料が決まる、作ること自体が売上になる、という支援会社側の収益構造の中では、支援会社の売上と事業会社の成果が必ずしも同じ方向を向きません。「分かる人がいないので任せきり」が続くと、施策の妥当性を自社で判断できなくなり、意思決定の主導権が外に移ります。これは誰かの悪意ではなく、構造の問題です。
解決方針
すべてを内製する必要はありません。すべてを内製するのは、採用や評価の観点からいっても非常に難易度が高いのも事実です。重要なのは、「何を、なぜ、どんな結果を期待してやっているか」を事業会社側が把握し、判断の主導権を手放さないことです。そのために、施策の目的・仮説・結果・やめた理由を記録として残し、支援会社や担当者が代わっても経緯をたどれる状態をつくります。月次の振り返りを「報告を受ける場」から「経緯を残し、次の判断を決める場」に変え、経営が求める投資対効果の説明を、担当者が一人で抱えなくて済む形にします。
実行部分は、事業会社と同じ方向を見て動ける外部の専門家と組む形でも構いません。AIで70点のアイディアが簡単に手に入る時代に、残りの30点を出せる実行者は限られており、その人たちと「作業の外注」ではなく「判断を共有する関係」で組めるかどうかが差になります。私たちは、そうした実行者の紹介や、社内で担う人材の確保・育成も含めて、改善サイクルが回り続ける体制そのものを一緒に設計します。支援会社に依存させない支援、というのが私たちのスタンスです。
私たちがまず確認すること
- 「先月成果が悪化した理由」と「今月試すこと」を、担当者が自分の言葉で説明できるか
- 過去に実施した施策と、その結果・やめた理由が、担当者の記憶以外の場所に残っているか
- 経営に対して、マーケティング投資の成果をどの数字で説明しているか。その数字を担当者が一人で作っていないか
- 支援会社からの提案を「自社に必要か」で判断する基準を持っているか